オーダーメイド事業の【注文の流れ】

オーダーメイド事業が、どの様に注文を受け、どの様な過程を経て商品をお渡ししているのかが分からなければ、事業をやっていけるか想像することも難しいです。
オーダーメイド事業の注文の流れを知り、自分の始めたい事業にあてはめて考えてみてください。

お客様の要望を大まかに聞く

要望の全体像を把握し、細かなデザインなどはあとから聞きます。

まず初めに、お客様の大まかな要望を聞いてください。

既製品とは違い、オーダーメイドは展示されている商品が少ないです。
そのためお客様は、どの様なものがあるか分かりません。
また受注者も、どの様なものを求めてきたかが分からなければ、ご案内することもできません。
まずは、ざっくりとした内容ですが、どの様な要望があるのかを聞いてください。

これは、どのオーダーメイド事業にも共通することなのですが、あたりまえのこと過ぎて、教え忘れることがあります。
そのため、とても重要なことなのですが、「話し初めに」お客様の大まかな要望を聞かない受注者が数多くいます。
「内容の重複を避けたいから聞かない」という人もいますが、問題を起こさないためにも、要望の全体像の把握は最優先で行ってください。

どの様な服をつくりにきましたか?

受注できない内容なら、この場でお断りしてください。

お客様の要望が、自社で叶えられる内容なのかどうかを確認してください。

明確に用途が決まっている場合は、欲しい服の形もある程度決まっています。
そのため、対応するデザインや仕様を取り扱っているかどうかは、すぐに確認できます。

もし要望に対応できない場合は、この段階で断ります。

長い時間をかけた挙句に対応できないと聞かされることは、とても腹立たしいです。
そのため、まず初めにどの様な服を望んでいるかを確認してください。

例えば、極度な撫で肩のお客様が「自分の肩の傾斜にあった服」を求めて来店しました。
このお客様の注文を受けて良いのは、「極度な撫で肩」に対処できる可能性があるオーダーメイド事業者だけです。
そのため、お客様の撫で肩の度合いが、自社で対処できる範囲内なのかを判断しなければなりません。
体型を計測する事業者は、傾斜計で肩の斜度を計測したり、肩のつきかたを確認したりして、対処できるかを判断してください。
体型を計測しない事業者は、お客様の体型に一番合う可能性が高い型を着てもらい、要望にかなうか判断してもらってください。
対処できない、または、お客様の要望にかなわない場合は、丁重に断ってください。
このとき、フルオーダーであろうとなんであろうと、自社で対処しきれない場合は断ってください。

もう一つ別の例えで、お客様が「礼装用のシャツ」を求めて来店しました。
お客様に詳細を聞くと、ブザム(イカ胸・ひだ胸など)は不要で、ウィングカラーとダブルカフスで作れれば良いとのことでした。
該当デザインを用意している場合は、お客様の要望に沿うことができるため、受注を進めます。

この様に、まずはざっくりとお客様の要望の全体像をつかみ、適切な接客をしてください。

急ぎますか?

間に合わないなら、この場でお断りしてください。

受注トラブルにおいて、最後の最後で納期が合わないという問題が多いです。
まずは、急ぐのか、納期に余裕はあるか、余裕が無いと作り直しはできないが大丈夫かなどを確認します。

例えば、来週末に結婚式があるので、「礼装一式をすぐに作ってほしい」というお客様が月曜日に来店しました。
特急指定をした場合、発注から5営業日でできあがる工場を使用していた場合、ギリギリですが仕上がります。
ただし、発注前に工場に確認したところ、繁忙期の為、あと1~2日余分に必要かもしれないとの返答を受けましたが、まだなんとか仕上がります。
この状況をお客様に伝え、お客様の受け取り都合などを確認したところ、木曜日の夜に受け取りが可能とのことでした。
この場合、日程的には問題が無く、条件もクリアしているため受注できます。
ただし、1日の余裕もないため、この他に不安要素が増えた場合は、受注を断った方が良いです。

お客様に時間的余裕があることを確認したうえで、安全な期間を確保した受注をしてください。

オーダーメイドを利用したことはありますか?

オーダーメイドの流れを知っているかによって、対応を合わせてください。

お客様がオーダーメイドを利用したことがない場合、費用や納品までの日数、どのくらい自由に注文ができるかなどが分かりません。
そのため、大まかな流れを説明するとともに、何も知らないお客様のためのWebページと、そのページのQRコードを紹介し、自社のオーダーメイドについて細かく確認してもらってください。
(同一内容の案内を、紙媒体でお渡ししても構いません。)

Webページを作っておくのは、説明であろうと何であろうと長い接客を嫌うお客様のためです。
接客は好まないがオーダーメイドを利用したいというお客様のために、説明は必要最小限に止め、あとはWebページを読んで確認してもらうようにしてください。

自分本位な説明ではなく、臨機応変に対応してください。

もし自社のオーダーメイドを利用したことがある場合は、過去の受注履歴を検索し、不要な質問は避けてください。

お客様ごとに適した説明をしてください。

生地を決める

生地が決まらないと、細かなデザインイメージがまとまりづらいです。

オーダーメイドで仕立てるお客様は、一般的なアパレルショップに来るお客様と違い、服を仕立てる前提で見にくる人が多いです。
とは言っても、必ずしも買うわけではなく、欲しい商品がなくては買いません。

商品を選ぶうえで決め手になるのは、色・柄・形・着心地・値段と続きます。
そのためオーダーメイドでは、気に入る生地が見つからなければ注文には至りません。

自分の欲しい色・柄・素材・機能性などが決まっているお客様もいますが、何が良いかよくわからないというお客様もいます。
そのため、生地ごとの仕上がりをまとめた見本帳を用意しておくと、イメージしやすく便利です。

また、生地を決めてもらう際に、クレリック(一部別生地づかい)にするか、特殊な配色をするかなどを質問してください。
生地づかいの指示などはデザインと共に決めることが多いですが、配色指示ができること自体を知っているのとそうでないのでは、イメージするデザインが大きく変わることがあります。
ここでは明確な答えはもらわなくて良いので、考えておいてもらうために質問を投げかけておいてください。

体型を測る・サイズゲージを試着する

体型を把握すれば、デザイン提案にもつながります。

生地からの流れで、デザインを決めてしまいたいところですが、まずは体型を計測してください。
体型によって、似合うデザインとそうでないものがあります。
的確な提案をするためには、まずはお客様の体型と身体的特徴を把握する必要があります。

体型を計測する際、一般的には「自然体で立ってください」と言う事が多いですが、必ずしも正解ではないです。

例えば、お客様が「猫背を気にしていて、これから直していきたい」という希望があるのに対して、猫背用の服を無条件で作ってしまうのは、やや早計です。
この場合は、まずは姿勢矯正前の自然体の寸法を計測し、現在の猫背具合を確認します。
次に、直したい姿勢に整えてから、姿勢矯正後の寸法を計測しなおし、この矯正後の寸法で服を仕立てます。

猫背矯正前の姿勢に合わせた服を着て正しい姿勢に直そうとすると、前胸がつっぱり、窮屈に感じます。
そのため、姿勢を矯正するのに負荷を感じてしまい、すぐに猫背に戻ってしまいます。

猫背矯正後の姿勢に合わせた服を着て正しい姿勢に直そうとしても、特に負荷は感じません。
ただし、姿勢を猫背に戻してしまうと、首が詰まる様に感じます。

この様に、姿勢によっても着心地に差があるため、どの様に着たい服なのかに合わせる配慮が必要です。
また、身体的特徴によっては合いにくいデザインや仕様があるため、デザインを決める前に体型を測ることを推奨しています。

体型を測り終えたら、着心地(または寸法など)の要望を確認します。

デザインを決める

お客様の要望に合ったデザインを提案し、好きなデザインを選んでもらいます。

初めに聞いた要望に合いそうなデザインをお勧めします。
ただし、あくまでもお勧めするだけで、最終的にはお客様の好みを優先します。

生地の使い方を決める

生地づかいによって、服の全体イメージは大きく変わります。

一般的な生地づかいに比べて、異素材を組み合わせるとくだけた印象を与えやすいです。
そのため、ビジネスカジュアルにはクレリック、日常着にはクレイジーカラーパターン(多配色)など、着用する用途によって遊び心を加えたりします。

色や柄によるイメージはとても大きいため、細かなデザインよりも先に、生地の使い方から決めてください。

衿デザインを決める

顔に近いデザインが、もっとも印象に残りやすいです。

シャツでもジャケットでも、衿からデザインを決めていきます。
それは、衿(ラペルも含む)が最も顔に近いパーツだからです。

顔に近い部分のデザインは、人と話しをする際に目に入りやすいため、無意識的に印象に刷り込まれます。
そのため、自分のイメージを強くすることもできますし、補正することもできます。

例えば、顔が大きいことが気になる人には、衿やラペルが広めのデザインをお勧めします。
人は近くのものと大きさを比較するため、比較対象となる衿が小さいと、顔が大きく見えてしまうからです。
そのため、衿やラペルが広めのデザインの服を着用すると、バランスがとれて気になりにくくなります。

もう一つ別の例えで、柔らかな印象を与えたい人には、丸みのあるデザインをお勧めします。
四角四面という言葉がある様に、角が多いと固い印象になりやすいからです。
そのため、丸みのあるデザインの服を着用すると、角の取れた柔らかなイメージを与えやすくなります。

誰しも自分の顔は見慣れているため、主観でしか判断できません。
そのため受注者は、客観的視点から、お客様が与えたい印象に適したデザインをお勧めしてください。

前身頃のデザインを決める

衿との調和が求められるデザインです。

選択肢はそこまで多くないですが、用途に合わせてデザインを選びます。
特に、衿と前身頃が連動していることが多いため、デザインと仕様の関係を把握したうえでお勧めしてください。

後身頃のデザインを決める

衿に次いで、よく人に見られるデザインです。

人が向かい合っている時は、顔(特に目の周り)を見ます。
そのため、衿以外の前側のデザインは注目されにくいです。

人が後ろを向いている時は、全身をくまなく見られることがあります。
これは、向かい合っている時と違って、目線が気にならないからです。
そのため、後側のデザインが人に与える印象も大きいです。

生地が柄の出方が綺麗かどうかは、肩周りや後正中線付近に表れやすいです。
シルエットが綺麗かどうかは、肩甲骨や腰回りの曲線に表れやすいです。
動きに無理がないかどうかは、腕回りや裾回りに表れやすいです。
体型に適したデザインの服は綺麗なラインが出やすいため、良い印象を与えやすいです。

お客様自身が見えないデザインはおざなりにされがちですが、受注者が客観的な視点から、お客様の体型に合ったデザインをお勧めしてください。

袖のデザインを決める

動きやすさにも関わるデザインです。

衿のデザインや、身頃の分量感に合わせて、バランスをとるために調整することが多いデザインです。
腕周りの動きやすさに大きく影響があり、着心地に大きく関わるデザインとも言えます。

例えば、腕を大きく動かさないジャケットデザインには、袖山が高めの、運動量が少なくスッキリとした見た目の袖をお勧めします。

もう一つ別の例えで、袖をまくる前提のジャケットデザインには、袖口の仕様を本切羽にすることをお勧めします。

腕を前に振ることが多いのか、横に広げることが多いのかによっても、お勧めする袖の形が変わってきます。
単純に衿デザインに合わせてカフス型を選んだり、運動量を増やしたりするのではなく、生活スタイルに合わせたデザイン提案が求められます。
そのため、袖単体のデザイン性よりも、用途と着心地の調和を重視して選ぶことのほうが多いです。

ポケットやその他のデザインを決める

全体の調和をとりながら、細かなデザインを選びます。

服の全体像が決まったら、ポケットなどの細かなデザインで調和をとります。

ポケット
ポケットは、「見えない→四角い→丸い」の順でフォーマルな印象があります。
ジャケットの場合、玉縁ポケットはフォーマルな印象が強く、大きな丸みのパッチポケットはカジュアルな印象が強いです。
シャツの場合は、ポケットがないほうがフォーマルな印象が強く、パッチポケットやフラップポケットはカジュアルな印象が強いです。
その他
ジャケットは、切羽やフロントカット、フラワーホール、チェンジポケットなどの細かなデザインを決めます。
シャツは、ブザムやヘム、ペン差し、ガゼットなどの細かなデザインを決めます。

細かなデザインを過度に指定する必要はないため、適宜お勧めしてください。

オプションを決める

より自分の好みにカスタマイズするために、オプションを選びます。

細部にまでこだわることで、より納得のいく服を仕立てることができます。
体型や用途に合わせてお勧めのオプションを提案し、お客様に決めてもらいます。

ただし、初回受注は自社の基本を確認してもらうために、できるだけシンプルな注文をお勧めしましょう。

縫製仕様を決める

生地に合わせて、適した縫製方法をお勧めしてください。

企業が生地見本帳を作る際に、最適な縫製方法を設定します。
ただし、これがお客様にとって常に最高という訳ではないため、変更することができます。

例えば、本格的な仕様にすると、仕立て上がりに重厚感が出やすいですが、日数や費用がかかります。

もう一つ別の例えで、裏地をなくすと、涼しく軽快な仕立てにしやすいですが、生地によっては透けてしまいます。

明確な好みがあるとき以外は、お勧めの基本縫製仕様を試してもらってください。

芯地を決める

生地に合わせて、適した芯地をお勧めしてください。

企業が生地見本帳を作る際に、仕様と共に、最適な芯地も設定します。
ただし、これがお客様にとって常に最高という訳ではないため、変更することができます。

例えば、芯地が硬いと、厚みが出てしっかりとする反面、重くなります。

もう一つ別の例えで、芯地が柔らかいと、軽く、風合いを生かしやすいですが、体型によってはシワになりやすいです。

明確な好みがあるとき以外は、お勧めの芯地を試してもらってください。

ボタンを決める

一般的なオーダーメイドは合成樹脂のボタン、高級なオーダーメイドは天然素材のボタンが多いです。

生地とボタンは素材感がまるで違うため、生地に合わせたボタン色を網羅するのは困難です。
そのため、注文の多い生地に合わせた基本ボタンを用意します。

一般的なオーダーメイドでは
ジャケットは、黒・紺・茶・アイボリーの練りボタン(合成樹脂のボタン)を基本用に、
シャツは、白の練りボタンを基本用にしていることが多いです。
高級なオーダーメイドでは
ジャケットは、黒・紺・茶・アイボリーの水牛の角のボタンを基本用に、
シャツは、白蝶貝のボタンを基本用にしていることが多いです。

その他に、金属ボタンや革製ボタン、色味を合わせるための練りボタンなどを用意します。

気軽に印象を変えられるオプションですが、初めてのオーダー服は、生地の色味に合わせるくらいがちょうど良いです。

糸の色を決める

基本は生地の色に合わせます。

糸の色は、生地のメインの色に合わせて目立たせない様にします。
ただし、あえて目立たせたい場合には指定します。
調和のとりやすい色合いは、同系の色味や、同じ明度です。
目立ちやすい色合いは、反対色です。

全体の糸は調和させて、ボタン付け糸や穴かがり糸のみを反対色にすることも可能です。
色の調和はバランスが難しいため、オーダー慣れしているお客様にのみ提案しましょう。

刺繍を決める

名入れ刺しゅうは、オーダーメイドの基本です。

オーダーメイドで服を作る際に、半数近いお客様が名入れ刺しゅうをします。
そのため、名入れ刺しゅうを基本仕様としている企業も少なくないです。

ただし、刺しゅうされた場所が硬くなるため、敏感肌のお客様には好まれにくい様です。

刺しゅうできる図案や位置、糸の色などを組み合わせて、自分だけの一着に仕立てることができるため、お勧めしてみてください。

要点を確認する

注文に問題がないか、お客様と一緒に確認します。

お会計前に、注文に問題がないかを確認します。
「お客様と一緒に確認する」ことが重要なため、お手間でも確認してもらってください。

アクセサリーの要・不要を確認する

カラーピンやカフリンクスを持っているか、必ず確認しましょう。

例えば、ピンホールカラーを受注する時には、カラーピンを持っているか確認してください。
ピンホールカラーにこだわるお客様は、自分の好みのカラーピンを用意するため、毎回カラーピンがついてくる必要がないです。
そのため、多くの企業ではカラーピンを付けません。
ピンホールカラーのオーダーに慣れていないお客様は、写真に写っているピンは付属しているものだと思うため、納品時にトラブルになることがあります。

必要のないアクセサリーを毎回渡すことは無駄ですが、持っていなくても困ります。
店舗受け渡しの場合は、お客様に渡す時に確認できますが、配送の場合は確認できません。

着用に必要なアクセサリーを付けるかどうかは、受注時に必ず確認してください。

受け渡し方法を確認する

初回は店舗受け渡しが良いですが、次回以降は配送でも良いです。

初めて納品をする際は、なるべく店舗での受け渡しをお勧めします。
それは、仕上がりの状態を見てもらい、問題がないかを確認してもらうためです。

パターンオーダーなどの型を使用した受注の場合は、事前にサイズ感を確認しているため、初回から配送でも問題は少ないです。

より良い受注にするためには、初回は店舗で受け渡す様にしてください。
ただし、お客様が配送を強く希望する場合は、店頭受け渡しに固執しなくても良いです。

納期を確認する

すべての仕様を確認したうえで、納期を決めてください。

納期については、初めのほうでも話していますが、決定ができるのはすべての仕様が決まったこのタイミングです。

初めに「急ぎますか?」と聞いたのは、すべて決めた後で、納期が合わないという問題を起こさないためです。
ここで伝えるのは、納期を確認してもらうためです。

仕様によっては時間がかかるものもあるため、すべて一律納期という訳にはいきません。
また、オプションとして納期の短縮ができる場合もあります。
どの様な仕様か、納期短縮オプションを使いたいか、受け渡し方法はどうするかなどの様々な状況を加味したうえで、最終的な納期を伝えてください。

最終確認をする

お客様と一緒に、受注のすべてを確認してください。

生地ごとのデザインや体型、オプション、納期などを確認してもらってください。
確認の署名をもらうかどうかは企業ごとで違いますが、「支払い≒確認した」と考えれば、署名がなくても問題はないです。
最終確認を必ずお客様と一緒にし、内容が確定してからお会計に移ってください。

お会計

お会計と一緒に、商品の受け渡しに必要な情報を渡してください。

お会計が済んで領収書を渡す際に、受注番号とお渡し予定日も伝えてください。

受注番号の受け渡しをペーパーレスで行う場合は、メールなどを利用します。
インターネットを利用したメールから、SNSを介したものまで様々なメールがありますが、電話番号を利用したショートメールが一番簡潔でお勧めです。

受注番号を紙でお渡しする場合は、受け渡し伝票に受注番号とお渡し予定日を書き込んで渡してください。
また、受注伝票の控え(伝票の部分複写)をお渡ししても良いですが、不要な情報までお渡しするのはお勧めしません。

お会計をして、受け渡しに必要な情報を伝えたら、受注は完了です。

必要なものを工場に送る

工場に送る資材はひとまとめにし、信書は別にしておきます。

受注が完了したら、提携している工場に資材と伝票を別々に送ります。

受注したその日に送る企業もありますが、1週間の受注分の資材をまとめて送る企業も多いです。
複数に分けて送ると手間とコストが増大するため、できるだけ配送をまとめるか、配送の手間が発生しないような事前準備をしてください。

伝票は発注書の役割を果たす「信書」のため、資材と一緒には送らず、メールで送ってください。

受注関連データをメールする

信書はメールで送り、管理してください。

オーダーメイドを受注したら、受注関連データ(受注伝票・パターンデータ・仕様書など)をすぐに工場に送ります。
資材を送るよりも前に受注関連データを送ることで、工場で受け入れの準備ができます。
また、オーダーメイド受注者の記憶が鮮明なうちに依頼を済ませた方が、間違いが起きにくく安全です。

メールを送る時は、先に発注一覧表を送り、その後に受注関連データを受注品番ごとにまとめて送ります。
メール1件につき1品番のみのデータを添付することで、発注日時や資料がひとまとめになるため分かりやすいです。
ただし、数十件に及ぶ場合は、何件かごとにまとめる場合もあります。

受注関連データをメールで送る理由は、伝票が発注書の役割を果たし、「信書」として扱われるからです。
信書と資材を一緒に送るためには配送方法が限られてしまうため、資材と受注関連のデータは別々に扱います。
詳しくは 総務省・信書のガイドライン をご確認ください。

総務省|信書便事業|信書のガイドライン

パターンオーダーの事業者などは、工場にパターンデータと仕様書を事前に送っておけば、伝票を送るときに品番で指示することもできます。
ただし、オーダーメイド事業者が確認する手間はさほど変わらないため、工場側の希望に合わせてください。

信書(受注関連データ)はメールで送り、安全に管理してください。

資材を手配して送る

オーダーメイド事業所でひとまとめにして、工場に送ります。

オーダーメイド事業では、受注してから着分の生地を発注することが多いため、オーダーメイド事業者が発注しても工場が発注しても、手間はさほど変わりません。
そのため、副資材の扱い方によって対応を考えましょう。

縫い糸は工場で手配するのが一般的ですが、芯地やボタン、刺しゅう糸などの副資材は、工場に置いてもらえない場合があります。
この様な契約形態で、すべての資材をメーカーから工場直送にしてしまうと、別々の会社からバラバラに資材が届き、工場に大きな手間がかかります。
そのため、小規模な事業や、提携したての時は、オーダーメイドの事業所で一品番ごとに資材をまとめてから、工場に送ることが多いです。

工場では、送られてきた資材の受注品番と受注関連データを照合して組み合わせます。
もし受注品番を書かずに資材を送ってしまった場合は、工場で資材品番をひとつずつ照合していかなければならず、かなりの手間がかかります。
工場側に無駄な手間をかけさせないためにも、資材をひとまとめにし、受注品番を書いてから送ってください。

※ 資材に限らず何かを送る時には、配送業者名と追跡番号(問い合わせ番号)を必ずメールしてください。
また、可能であれば、発送予定日を事前連絡してください。

データと資材の到着確認をする

確認や報告は必ずしてください。

小さな企業や工場で抜け落ちやすいのが確認の連絡です。
送ったら送りっぱなしではなく、必ず確認をしてください。

本来は、受け取り手側が到着連絡をしますが、連絡を忘れることや、届いていないために連絡ができない場合もあります。
お客様に迷惑がかからないように、必ず確認をしてください。

荷物受け取りの報告がない場合は、配送会社の追跡番号などで荷物の状況を確認してください。
配達完了が確認できたら、先方にメールで確認してください。
それでも連絡が返ってこない場合は、翌営業日に電話をかけてください。
手間ではありますが、常に確認をすることで報告が常習化されます。
それでも連絡を返してこない企業は、今後のお取引を考える必要があります。

物でもメールでも何かを送ったら、必ず確認や報告をしてください。

商品を工場から受け取る

商品を受け取ったら、すぐに確認をしてください。

アイテムや仕様、契約形態によっても変わりますが、工場に発注してから10~30日程度で商品ができあがってきます。
そのままお客様に渡すのではなく、オーダーメイド事業者(特に、受注した本人が好ましい)が確認する必要があります。

できあがった商品を受け取ったら、すぐに確認をし、報告をしてください。

納品前の連絡を受ける

納品前の連絡は必ず受けてください。

工場からの連絡で一番抜け落ちやすいのが、納品前の連絡です。
これは、納期ギリギリで仕上げたり、仕上げた服を即日出荷したりしている工場に多いです。
この様な工場は、納期当日になって仕上がらないと言われる問題が多く発生しやすいため、発注者側が納期を管理しておく必要があります。

工場から受けるべき納品の連絡は2度あります。

1度目は、工場に全資材が到着したときです。
すべての資料と資材がそろった状態で初めて、工場内に流すことができます。
そのため、納品予定の目処が立つのが、工場に全資材が到着したタイミングです。
工場から納品予定日の連絡をもらい、お客様へお渡しする日に問題ないことを確認してください。
2度目は、仕上がりの目処がたったときです。
工場が1度目に伝える納期には、ある程度余裕をもたせています。
そのため、出荷予定日よりも前には、本当に出荷できるかどうかの判断はつきます。
もし予定していた納期より遅れてしまう場合は、お客様に連絡をしなければなりません。
そのため、商品の出荷に問題はないかの報告と納品予定リストを、早めに確認しなければなりません。
オーダーメイド事業者と工場、双方の都合を考えた時に、余裕をもたせて出荷予定日の2営業日前までに連絡することが適切です。

連絡を受け、商品が予定通りに仕上がることを確認してください。
連絡を省かれると、連絡がこないだけなのか、商品が一切進行していないのかが分かりません。
必ず、納品予定日の連絡と、納品前の報告を受けてください。

商品を受け取る

リストの照合と簡易確認をし、受け取りの報告をしてください。

商品を受け取ったら、外装を確認してください。
梱包に不備があったり配送状況が悪かったりすると、外箱が損壊し、雨水や汚れが入ってしまうなどの問題が発生します。
まず、受け取った商品の外装に異常がないことを確認してください。
もし異常があった場合は、外装の状況を写真で撮り、状態の確認をしてください。

外装に問題がなければ、納品リストと受け取った商品を照合してください。
この際、細かな検査は後回しにして、納品予定数・納品物の受注品番・生地の色柄の3点を優先して確認してください。
この3点が正しく納品されていれば、工場に商品受け取りの報告をしてください。

商品の確認には時間がかかるため、まずはリストの照合と簡易確認を優先し、受け取りの報告をしてください。

商品を確認する

商品を受け取ったらすぐに確認し、問題が無ければお客様にも連絡してください。

商品を受け取ったら、お客様に渡す前に確認をします。
確認をするのは、その商品を受注した担当者が最適ですが、適切に検品ができる人であればだれでも構いません。
受け取りからできるだけ間を空けずに、商品を確認しましょう。

受け取ってすぐに検品すべき理由は、余裕をもって確認すれば、何か問題が起きた時にも対処ができるからです。
問題がないに越したことはないですが、問題が起こることも想定して対処しましょう。

商品を最低限確認すべき箇所は、外観・デザイン・主要サイズです

外観の確認
パッと見たときに違っていないかどうかを、確認してください。
生地が間違っていないか、柄の出し方は綺麗か、汚れやほつれがないか、仕様やオプションは間違っていないか、刺しゅうの文字はあっているかなど、細かく見なくても目に付く点です。
これらがまったく合っていない場合は、商品が取り違えられている可能性が高いです。
これらの間違いを見過ごしてしまうと、お客様から「商品を確認していないのか?」と言われてしまいます。
すぐに確認できることなので、最初に確認しましょう。
デザインの確認
指定したデザイン通りに仕上がっているかどうかを、確認してください。
同じ人が、似た生地で、複数のデザインを発注している時、生地の取り違えミスが発生しやすいです。
各生地に対して、指定したデザイン通りに仕上がっているかどうかを、確認しましょう。
主要サイズの確認
首回り・胸回り・腹回り・後中心丈・肩幅(JIS規格でいう背肩幅)・袖丈などの基本的な部位を確認します。
これらの部位を確認することで、全体的に正しく縫われているかどうかを、大まかに判断できます。
もし指定寸法との差が大きい様であれば、細かく調べる必要があります。

これらのいずれかに異常があれば、即座に詳細検品をおこない、工場に修理依頼をしてください。
修理や作り直しが必要になると、ある程度の日数が必要になるため、余裕をもって対処するためにも、商品を受け取ったらすぐに確認をしてください。

商品の事前確認が終わり、問題がないことが確認できたら、受け渡しができることをお客様にメールしてください。
連絡を入れずにお渡し予定日まで待っても良いですが、早くお渡しできる場合にはメールで連絡を入れた方が良いです。

商品をお渡しする

商品を確認したら、お客様にお渡しします。

初回は細かめに確認してもらった方が良いので、店舗でのお渡しを推奨しています。

外観を確認してもらう

見た目が要望通り仕上がっているかどうかを、確認してもらいます。

受注伝票の指定デザイン通りに仕上がっていることは確認済みですが、お客様の要望通りに仕上がっているか確認してもらってください。
お客様の指定内容と違う場合は無償で修理を行いますが、お客様のイメージと違っていて変更を希望する場合は有償で調整を行います。
ただし、内容によっては作り直しになるため、調整可能な範囲に限ります。

商品に傷や汚れが無く、要望通りのデザインに仕上がっていることを確認してもらったら、着用してもらいます。
店舗での着用を希望しない場合には、外観の確認が完了した時点で商品をお渡しします。

着用して確認をしてもらう

着心地が要望通り仕上がっているかどうかを、確認してもらいます。

仕立てた商品を着用してもらい、サイズ感を確認してもらいます。
パターンオーダーなど、事前にサイズゲージを着用してから作っている場合は、店頭での着用確認はあまり必要ないです。

体型を測って服を作るため、お客様の体型に合ってはいますが、要望通りの着心地かどうかは着てもらうまでわかりません。
まずは着用してもらい、気になる点を挙げてもらってください。

大幅にサイズが違っている場合は作り直しが必要なため、原因を特定してください。

この場では違和感がなくても、着続けているうちに気になる点がでてくる可能性があります。
修正を希望する箇所が出てきた場合は、次回の受注の時に相談してもらってください。

商品の着心地が要望通りに仕上がっているかどうかを確認してもらい、お客様にとっての最適な一着が常に仕上がる様にしてください。

まとめ

オーダーメイドの注文の流れについて説明しましたが、ご理解いただけましたか?
受注の流れを説明しましたが、自分が注文した時には見ることのできない部分の流れも分かり、具体的に理解できたかと思います。

初回の受注は、この一連の流れをすべて確認します。
2回目以降の受注は、必要に応じて確認しますが、不要な部分は大幅に省きます。

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