オーダーメイド事業に【必要な道具】

オーダーメイド事業ごとに、どの様な道具が必要なのかが分からなければ、購入を検討することすらできず、費用を想定することができません。

この記事では、「オーダーメイドにはどんな道具が必要なのか?」について説明します。
オーダーメイド事業ごとに必要な道具を確認し、自分の始めたい事業の費用を試算してみてください。

オーダーメイド事業に必要な機器やソフト

単価は高いですが、CAD関連機器があると便利です。

オーダーメイド事業に必要なもののうち、最も単価が高いのがCAD関連機器(ハードウェアとソフトウェアの両方)です。
そのため、自分が行う事業に本当に必要なのかを検討したうえで、用意をしてください。

パソコン(Windows 10 Pro)

パソコンがあると便利ですが、CADを使わないならタブレットの方が便利です。

事業を行う場合に最低限必要なものは、パソコンではなくメール機能です。
そのため、事業を始めるからといって、必ずしもパソコンが必要な訳ではないです。
CADを使用する場合にはパソコンが必要ですが、そうでないならスマートフォンやタブレットでも充分です。

パソコンのOS(オペレーション・システム)をWindows 10 Professionalと指定しているのは、主流のCADがMacに対応していないからです。

お客様へデザインを提案したり、伝票の入力補助に使用したりするだけであれば、タブレットの方が適している場面もあるため、用途に合わせて導入する機器を検討してください。

フルオーダーやセミオーダーは
CADソフトと合わせて、購入することを推奨します。
その他のオーダーメイドは
CADを使用しないのであれば、パソコンである必要はないです。

※ いまだにWindows 7以前のOSを使用している企業は、情報漏洩への危機感が薄い可能性が高いです。
Microsoftからのサポートが切れていたり、終了が目前のシステムを使い続けたりすることは、外部からの攻撃を受けやすく、情報が流れ出ている事にも気付いていない可能性が高いです。
インターネットに一切繋がないパソコンでも、フラッシュドライブ(USBメモリ)やBluetoothなどで外部機器とつながれるため、危険なことには変わりないです。
お客様や仕事相手に迷惑をかけないためにも、最低限の安全管理は必要です。

CADソフト

事業の対応力を上げるためには必要ですが、自社で型紙を調整しない場合は不要です。

CADとはComputer Aided Designの頭文字をとったもので、コンピュータを使用して製図をするシステムを指します。
ここで挙げるCADとは、アパレル用の型紙作成や展開を行うソフト全般を指します。

オーダーメイド補助ソフトとは
受注方法に合わせたルールを決め、型紙展開ソフトに指示をする補助ソフトです。
グレーディングソフトとは
マスターパターン(原形の型紙)を、指示したサイズに調整するソフトです。
パターンメーキングソフトとは
新しいパターン(型紙)を作るソフトです。

対応力を上げるにはCADソフトが必要ですが、高価なので無理にそろえなくても良いです。
必要なソフトのみを用意しましょう。

フルオーダーには
オーダーメイド・グレーディング・パターンの3種類のソフトが必要です。
セミオーダーには
オーダーメイド・グレーディングの2種類のソフトが必要です。
その他のオーダーメイドは
CADソフトを用意しなくても、事業がおこなえます。

CAM

工場には必須ですが、事業者には不要です。

CAMとはComputer Aided Manufacturingの頭文字をとったもので、CADで作成したものを出力するための機械を指します。

ここで挙げるCAMとは、パターンを紙以外に出力する機器を指します。
パターンを紙に出力する機器は「プロッタ」と呼びます。

CADのパターンデータを裁断用データに変換し、CAMで読み込んで生地を裁断します。
工場に必要な設備ですが、事業所で用意していることは少ないです。

CAMを導入していない工場は、小規模だったり、システム化ができていなかったりすることが多いです。
システム化ができない工場は、工員の高齢化や機材の老朽化、資金不足などの問題を抱えている場合が多く、事業のサスティナビリティ(持続可能性)が低い可能性がありますので、ご注意ください。

工場には
必須の機材です。
オーダーメイド事業者は
用意する必要はないです。

プロッタ

自社でパターンデータを作成しないなら、なくても問題ないです。

プロッタとは、CADで作成したパターンを紙に出力するための道具で、プリンタとは違った特徴を持つ機材です。

アパレルで多く使われているのは、カッティングも可能なペンプロッタです。

ペンプロッタとは
型紙の出力を指示すると、ペンを持った部位が左右に動き、広幅のロール紙を前後に動かしながら型を紙に書き込んでいきます。
型紙を1パーツ書き終えるたびに、ペンをカッターに持ち替えて切り抜きます。
シャープペンタイプとボールペンタイプがあり、フリクションペンや、複数のペンをセットできるものもあります。
素早く正確に型紙を出力できるため、アパレル企画会社などで多く使用されています。

ただし、カッティング可能なプロッタは高価なため、大判のプリンタを代用している企業も少なくはないです。

CADのある工場には用意されているため、パターンを紙に出力して送る必要はないです。
そのため、事業所でプロッタを用意しなくても問題ないです。

頻繁にパターンの調整を行う場合はプロッタがあると便利ですが、たまにパターンを紙に出力する程度であれば、出力を請け負う業者を利用することをお勧めします。

フルオーダーは
CADソフトに合ったプロッタを用意しておくと、便利です。
セミオーダーは
必要になる機会が少ないため、なくても問題ないです。
CADを持っていない場合は
不要です。

プリンタ

あると印刷物が増えるため、持たなくて良いです。
システム化と紙資料は、相性が悪いです。
探すのに手間取ったり、データを更新しても古い紙資料がどこかに残っていたりします。
できる限りデータで作成・管理し、ペーパーレス化することを推奨します。

受注伝票をお客様に渡す必要はないです。
そのため、印刷が必要なものはレシートくらいです。

たまに紙資料を印刷したい程度であれば、コンビニなどのネットワークプリントサービスを利用することをお勧めします。

オーダーメイド事業には
プリンタは必要ないです。
それでもプリンタを用意したい場合は、スキャナ複合機をお勧めします。

スキャナ

あると便利ですが、簡単な用事であればスマートフォンのカメラでも対応できます。

古い紙資料をデータ化する際には便利ですが、前提として、紙資料を持たなければ必要ないです。
また経験上、とりあえずスキャンしておこうという程度の資料は、見直されることのない不要なデータになります。
事業開始時からペーパーレス化を意識することで、スキャナを使用する頻度は大きく減ります。

デザインやパターンの下書きを読み込む時くらいにしか、スキャナは必要になりません。
たまにスキャンが必要になる程度であれば、コンビニなどのスキャンサービスを利用することをお勧めします。

オーダーメイド事業には
なくても問題ないです。
ただし、ファックスを使うくらいなら、スキャナとメールで対応してください。

固定電話・IP電話

必要はないですが、信用度のためにあっても良いです。

連絡手段として電話は必要ですが、固定電話である必要はないです。
ただし事業所に対しては、携帯電話やPHSの番号でないほうが、信用できるという意見もあります。
信用度を上げるために、固定電話を置いたり、市外局番で始まるタイプのIP電話を使用したりしても良いです。

すべての事業に
必要はないですが、信用度のために導入しても良いです。

ファックス

不要です。

いまだにファックス(正しくはファクシミリ)で送受信するアパレル企業は多いですが、用意する必要はないです。

メリットは操作が簡単なことで、デメリットは危険が多いことです。

ファックスはパソコンに不慣れな人でも使用できるため、誰にでも使えます。
また、一方的に書類を送りつけることができ、送信ログを残すこともできます。

ただし、送った内容は残りません。
送った内容を確認することができないので、白紙送信などのミスに気づけません。
また、重要な書類を送り、確認の電話を入れていたとしても、内容が残らないため反故にされる危険性があります。

メリットに対して、デメリットがあまりにも致命的すぎるため、ファックスは必要ないです。

もし、ファックスでしか取引を受け付けない企業があっても、安易には受け入れないでください。
ファックスでしか対応できないという企業は、パソコンなどに不慣れで、システム化に対応できていない可能性が極めて高いです。
この様な企業の多くは、工員の高齢化から新しい機材を投入する気がなく、機材が壊れるとともに廃業を考えている小さな企業が多く、突然連絡がつかなくなることがあります。
(実際に連絡がつかなくなったことがあります。)
この様な場合は、安全性と持続可能性を考え、お取引自体を検討しなおしましょう。

※ この様な状況を踏まえてでも、ファックスを使って取引すべき状況は、特殊技術をもつ個人との受注契約くらいです。
手縫いを請け負うことができる技術者には、企業に勤めていない高齢者も多いため、このような場合に限り、ファックスを使ってでも取引するメリットがあると思います。

もし必要に迫られた場合でも、通常のファックスは使用せず、ファックス内容をメールで送受信できるインターネットファックスを導入してください。
送受信した日時と内容を残すことができるため、安全に管理しやすいです。

すべての事業に
不要です。
ファックスを使用せず、メールなどの送受信内容が残る方法で、連絡をとりあってください。

オーダーメイド事業に必要なデータ

自社で情報を管理することで、安全に事業を運営できます。

オーダーメイド事業に必要なもののうち、とても重要なのがパターンと受注ルールです。
パターンは、服の良し悪しを左右する重要なもので、デザインやシルエットなどに各企業の色が出ます。
受注ルールは、事業を安全に運営するために重要なものです。
これらを、工場に依存せず自社で管理を行うことで、工場と対等に付き合うことができ、事業の安定性を確保しやすいです。
そのため、自分が行う事業に必要なデータを確認したうえで、用意をしてください。

パターン(変動データ・固定データ)

安定した事業を運営するために、自社で用意することが必須です。

変動パターンデータとは
グレーディングすることを前提に調整した、CADで動く準備ができているパターンデータです。
CADでパターンに数値を指定するだけで、指定したサイズのパターンを、適切なバランスで作成できます。
オーダーメイド用のパターンデータは、様々な調整数値が入り乱れているため、一般のパタンナーが調整することは難しいです。
豊富なデザインを組み替えたり、0.5~1.0cm単位で寸法調整をしたりする様な、細かな対応が必要な受注に適しています。
固定パターンデータとは
指定サイズ用にのみ作成された、CADで動かす準備をしていないパターンデータです。
動かすためのルールが入っていないため、単にCADで数値を入力しても動きません。
デザイン量が絞られていたり、1.0~4.0cm単位でサイズが決められていたりする様な、パターンが動く必要のない受注に適しています。
また、パターンを動かさないため、CADを持たないオーダーメイド事業に適したデータ形態です。
変動させないため費用が安く、調整しないため変形してしまう恐れもなく、扱いが楽です。

重要なことは、CADの有無にかかわらず、必ず自社でパターンデータを所持しておくことです。

自社で型紙を持たずに、工場のパターンデータに依存することは危険です。
初めにパターンをそろえないで良い分、コストを安く済ませることができそうですが、工場に主導権をとられて逆に高くついてしまいます。
特に、不誠実な工場にあたってしまうと、連絡なくデザインが廃止されたり、パターン使用料が上げられたり、詳細が開示されなかったり、絶えず問題が発生します。
コストや不安材料の増加により工場を変えようとしても、工場外にデータを出さないため、今までのパターンや受注内容を正確に把握できず、マイナスからの再スタートになります。
そのため、どのオーダーメイド事業を始める際も、CADの有無に関わらず、自社でパターンデータを所持しておいてください。

※ 嘘や誇張表現のように感じる人もいると思いますが、実話にもとづく警告です。

フルオーダー・セミオーダーは
細かな受注に対応する必要があるため、CADと共に、変動パターンデータが必須です。
調整の必要がないオーダーメイドは
固定パターンデータが必須です。
細かな注文に対応する必要性がなければ、無理にCADの環境をそろえる必要はないです。

受注関連資料(仕様書などを含む)

事業を安全に管理するために、自社で用意することが必須です。

受注関連資料とは、自分が始めるオーダーメイド事業に関して、

  • どの様なデザインを
  • どの様な風に受注し
  • どの様に縫いたいか

などを定めた資料です。
工場や受注者に対して、常に同じ説明をする必要があるため、規定内容を書類にまとめます。

受注関連のすべてを規定しておくことで、間違いを防止でき、品質を安定させることができます。
また、誰かに質問をしなくても資料で確認できることから、無駄な時間が省けます。
そのため、システム化や少人数化をするのに重要な書類です。

受注関連資料は、いくつかの書類をまとめたもので、

  • 受注のルールをまとめた「受注概要書」
  • 受注の手順を記した「受注手引書」
  • デザインをわかりやすくまとめた「デザインの見本帳」
  • 縫製に関する詳細な規定を記した「縫製仕様書」
  • 最適な縫製工程を記した「縫製工程表」

など、すべてをまとめたものを指します。

受注関連資料(特に受注概要書)をいちからすべて作るのは、時間と労力が必要になるため、既存の枠組みを調整して、効率よく作成してください。
事業の運営を安全に管理するためには、必須のツールです。

すべてのオーダーメイド事業に
必須です。
内容の多寡に違いはありますが、すべての事業にルールは必須です。

受注伝票・指示書

受注には必須ですが、オリジナリティは不要です。

受注伝票とは、受注内容の詳細を記録するための書類です。
オーダーメイド事業ごとに記録すべき内容の量に違いはありますが、共通する内容が多くあります。
そのため、各社の受注伝票はある程度似ています。
また、受注伝票は分かりやすい必要があるため、オリジナリティを出す必要はないです。

受注伝票は、受注方法やCADの仕様に合わせた並び(書き方)の伝票を使用します。
現在CADを導入していなくても、今後導入する可能性を考え、CADに合わせた並びの受注伝票を使用することをお勧めします。

受注伝票を管理することで、デザインの好みや体型の推移を、注文履歴から確認できます。
そのため、シンプルな受注方法でも、必ず受注伝票を残してしておくことをお勧めします。

情報の管理をするのであれば、紙の伝票で受注をするのは不向きです。
受注伝票が紙で作成されていると、データを入力しなおす手間が発生したり、場所をとったりします。
受注伝票がデータで作成されていると、即座にデータを検索できたり、店舗間の情報の統合ができたりします。
楽に管理するためには、初めから受注伝票をデータで作成しましょう。

受注伝票を工場に送る際にも、紙ではなくデータを送ることを推奨します。
メールでデータを送ることで、送信記録だけでなく内容も残すことができます。

以上のことより受注伝票や指示書は、扱いやすさや管理のしやすさから、既存の枠組みを利用し、データで作成し管理することを推奨します。

フルオーダー・セミオーダーは
受注方法とCAD(オーダーメイド補助ソフト)に合わせた、受注伝票が必須です。
また、特殊な仕様を受ける予定があれば、別紙として添付する指示書も用意しておきましょう。
体型を計測しないオーダーは
デザインと選択サイズが記録できる、シンプルな受注伝票が必須です。

伝票入力補助ツール

事業を安全に運営しやすくするために必要です。

伝票入力補助ツールとは、

  • 体型に応じたゆるみ分量の算出
  • 体型や用途に合ったお勧めデザイン
  • 注文を受ける際の注意点

などを提示し、注文を円滑に受けられる様に補助するツールです。
企業からの要望に沿って、画面の提示内容を調整することもできます。

既存のオーダーメイド事業では、ルールブックを丸暗記していました。
足りない部分や、時代にそぐわない部分は、個人の経験則で補います。
そのため、受注者の経験値や嗜好などの違いから、受注内容に大きく差が出てしまいます。
同じ企業内で、受注内容に差を発生させないために、補助ツールが開発・導入されました。

この補助ツールを使用することで、知識や経験がない受注者でも、大手百貨店や老舗テーラーの販売員と同程度の受注ができます。
また、企業のルールに沿った案内や受注ができ、適正な状態を保ちやすくなります。

使用している補助ツールは企業によってさまざまで、専用アプリ(アプリケーションプログラム)や、CADに組み込むタイプなどもあります。
弊社では、汎用性と開発費の兼ね合いからExcel形式で作成しています。

CADの仕様に合わせて作られた伝票入力補助ツールを導入することで、知識と経験則を補い、事業を安全に運営しやすくします。
また、開発済みのツールであれば、費用や時間は最小限で済みます。

フルオーダー・セミオーダーには
安定した対応力を補うために必要です。
常時、自社の専門家が対処できる場合は、なくても対処は可能です。
パターンオーダーには
高い対応力を必要とする場面が少ないため、なくても問題ないです。
既成オーダーは
決められた商品以外を扱わないため、ほぼ必要ないです。

オーダーメイドの受注時に必要なサンプル

適量のサンプルをそろえると、受注がしやすく、問題が発生しにくくなります。

オーダーメイド事業に必要なもののうち、受注のしやすさに直結するのがサンプルです。
デザインの見本になるサンプルがあると、お客様ができあがりを想像しやすく、受注時間が短縮できます。
生地や資材のサンプルがあると、選択肢が増えるため、お客様が納得して注文を出しやすくなります。
ただし、サンプルが多すぎると、便利な反面、管理の手間やコストがかかります。
自分が行う事業に、なにがどのくらい必要なのかを検討し、適量のサンプル用意をしてください。

デザインサンプル:衿型

安全に受注するために、主要な衿型見本は必要です。

衿型のデザインに対して、こだわりの強いお客様が多いため、デザインや仕様を確認するための、実物大の見本を用意します。
言葉や写真では伝わりづらい雰囲気なども、実際に見ればすぐに伝わります。

衿型見本には大きく分けて2種類の形状があります。

身頃付きの衿型見本
衿を身頃に縫い付けて整形した衿型見本です。
袖などを縫い付けないことが多く、「ちゃんちゃんこ」と呼ばれることもあります。
形状が安定しやすいことから、壁やボディに展示されることが多いです。
主流の衿型見本で、店舗用のサンプルにお勧めです。
デタッチャブルタイプの衿型見本
衿を単体で成形した衿型見本です。
やや形状が安定しにくいですが、持ち歩きやすいことから、受注会などのために作られることが多いです。
若干ですがコストが安い衿型見本です。

受注形態や、店舗の雰囲気に合わせて、見本の形状を選びましょう。

すべてのオーダーメイド事業に
主要な衿型の見本は、必要です。
ただし、着用サンプルで確認できる衿型は、なくても問題はないです。

デザインサンプル:カフス・切羽・ポケットなど

単調なデザイン部位のため、実物大の図解があれば充分です。

カフスや切羽、ポケットなどは、全体の調和のためにデザインを選ぶことが多く、こだわる人が少ないです。
また、平面的な部位のため、実物見本がなくてもデザインを説明できます。
ただし、カフスや切羽の仕様を説明する時には、実物見本あると便利です。

すべてのオーダーメイド事業に
実物大のデザインが確認できる図解は必要ですが、実物サンプルである必要はないです。
ただし、仕様が分かる必要最小限の見本があれば、お客様への説明は楽になります。

着用サンプル:デザイン見本

店を飾る必要がなければ、あまり必要はないです。

デザインの一例を展示するための、着用できるサンプルです。
店内の展示用ボディに着せて展示することで、店を飾ると同時に、注文内容を収束しやすくなります。
ただし、販売員が製品を着用することが多いため、展示品は少なくても問題はないです。

フルオーダー・セミオーダーには
デザイン見本があると注文を収束させやすく便利ですが、なくても問題ないです。
パターンオーダーには
サイズゲージがあれば、デザイン見本は不要です。
既成オーダーには
サイズゲージを兼ねた、着用サンプルが必要です。

着用サンプル:サイズゲージ

定型がある場合は必要です。

着用して、サイズを確認するためのサンプルです。
お客様の体型を計測せずに、定型のサイズで受注する事業には必要です。

フルオーダー・セミオーダーは
定型を用意しないため、不要です。
パターンオーダーには
定型のサイズを確認してもらうために、必要です。
既成オーダーには
デザイン見本を兼ねた、着用サンプルが必要です。

生地:生地見本帳・スワッチ

リスクを抑えるために、見本帳で生地を用意します。

生地見本帳とは
生地のスワッチ(小サイズの素材見本)を、ファイルにまとめたものを指します。
バンチブックとも呼びます。

生地屋で定番として扱っている生地の中から、オーダーメイド事業者が抜粋してまとめます。
定番生地以外も用意する場合は、受注する前に生地屋に在庫確認をする必要があるため、別の見本帳に分けて用意します。

生地見本帳を使用すると、実物を店舗に置かなくても受注ができるため、日焼けや汚れなどによる生地の傷みや、売れ残りを危惧した買い控えによる生地不足などを防げ、管理コストや在庫リスクを抑えながら、多くの生地を取り扱うことができます。

すべてのオーダーメイド事業に
生地見本帳は必要です。
ただし、選べる生地が少ない場合は、A4サイズの台紙にスワッチを貼り付けて用意することもあります。

生地:着分・ハンガースワッチ

リスクを最小限に止めるためには、多くの在庫を抱えないことが重要です。

着分生地とは
服を1着作るのに必要な長さに切られた生地です。
B5~A4サイズ程度に小さく個別包装されており、ファイルの背表紙の様に展示できます。
1着に必要な長さは、服の種類や、生地の幅によっても変わるため、明言は避けさせていただきます。
ハンガースワッチとは
吊るすタイプのスワッチです。
A4サイズの幅程度の台紙に、外三つ折り(Z折り)で留め付けて吊るします。
製品には使用できなくなりますが、着分より少ない長さで済みます。

どちらも、現物生地を見ないと想像がつきにくいというお客様のために、用意するものです。

すべてのオーダーメイド事業に
あると便利ですが、リスクを抑えるためにはなくても良いです。
もし用意する場合は必要最小限に止め、生地を適切に管理してください。

オプションサンプル:芯地

選択できるなら、硬さの確認のために部分縫製サンプルが必要です。

芯地とは、表地などを補強するための生地のことです。
糊の種類や、素材、厚みによって、特性や用途が異なります。

生地に貼り付ける場合は、生地の張り感を増やしつつ強度や硬度を増します。
生地と一緒に縫い込む場合は、生地の風合いをいかしつつ弾力性や保形性を増します。

使用する芯地によっては、型紙や仕様を調整する必要があるため、注意が必要です。

フルオーダー・セミオーダーには
多くの注文に対応するために、芯地ごとの部分縫製サンプルが必要です。
その他のオーダーメイドには
芯地を選ばせるのであれば、芯地ごとの部分縫製サンプルを必要最小限用意しましょう。

オプションサンプル:ボタン

色味や質感の確認のために、現物サンプルが必要です。

ボタンは、デザインの調和に大きくかかわります。
そのため、受注可能な生地の色に合わせられる程度の、選択肢が求められます。
ただし、ボタンの種類や厚みによって、注意点や仕様が変わることがありますので、あまり多種多様なものを用意せず、需要の高そうなものに絞って管理することをお勧めします。

フルオーダー・セミオーダーには
多くの注文に対応するために、現物サンプルが必要です。
その他のオーダーメイドには
ボタンを選ばせるのであれば、現物サンプルを必要最小限用意しましょう。

オプションサンプル:色糸

縫製糸の色味の説明のためにも必要です。

色糸は、縫製糸やボタン付け糸、穴かがり糸、刺しゅう糸などの様々な部位に指定ができます。

縫製部位ごとに糸の種類を細かく分ける企業も多いですが、一般的には「縫製糸」と「刺しゅう糸」の2種で大きく違います。
縫製糸は堅牢度を重視し、刺しゅう糸は見た目を重視します。
そのため、同じような色味の糸を集めたとしても、発色がやや違います。

問題が起きない様にするためには、縫製糸と刺しゅう糸の見本を別々に用意すると良いです。
ただし、見本が多いと管理が手間になり、別の間違いを誘発します。
そのため、刺しゅう糸見本だけを用意しておき、縫製糸とは色味に若干の違いがあることを説明して、兼用することが多いです。

刺しゅう糸の色指定の数は、刺しゅう図案によって変わります。
単色で構成されたデザインなのか、複数色で構成されたデザインなのかによって変わり、単色のものを複数色に変えることはフルオーダー以外では、ほぼ受けません

すべてのオーダーメイド事業に
必要です。
ただし、生地色合わせ以外の色糸オプションを受けない場合は、なくても問題ないです。

オプションサンプル:刺しゅう図案

刺しゅうがあった方が、オーダーメイドらしさが出ます。

必要性のない単なる飾りですが、これこそがオーダーメイドらしさとも言えます。

オーダーメイドの多くの注文には、名入れ刺しゅうを施します。
そのため、オーダーメイドを受けるのであれば、名入れ刺しゅうだけは用意しておくことをお勧めします。

図案見本は、サイズや質感、見え方などを確認してもらうために、生地に刺しゅうを施した実物サンプルを用意するのが最適です。
ただし、刺しゅう糸見本が実物サンプルとして用意されている場合は、実物大のコピーでも対応は可能です。

フルオーダーは
刺しゅうの注文が一切ないという状況が考えられないため、必要です。
その他のオーダーメイドにも
用意しておくことをお勧めします。

仕上げ道具(アイロン・スチーマー・ブラシなど)

最低限の仕上げ道具は、用意しておいたほうが安心です。

事業所で仕上げ道具が必要になるのは、悪い状況の時です。
そのため、仕上げ道具を一切用意しないで済むことが一番ですが、必要になる場面があります。

アイロンとアイロン台、またはスチーマーは見栄えに影響するしわを解消するために用意します。
工場で仕上げた際には綺麗でも、配送の際に変なしわができることがあります。
その場ですぐに対処できるように、アイロンとアイロン台、またはスチーマーを用意することが多いです。

ブラシは、服のごみやほこりを落とすために用意します。
生地に毛羽立ちのない服であれば弱粘性のコロコロクリーナーでも対応できますが、生地を傷めてしまう恐れがあるため、馬毛や豚毛のブラシを用意することが多いです。

ただし、これらの仕上げ道具を正しく使用するために、最低限の服の扱い方を覚える必要があります。
そのため、仕上げ道具を用意せず、近くのクリーニング屋や服のお直し屋に任せることも、対処法のひとつです。

すべてのオーダーメイド事業に
仕上げ直しに対処する必要があります。
ただし、仕上げ道具を用意して事業所で直すか、近くのお店で直してもらうかは、事業者の考え次第です。

まとめ と 必要な準備品の早見表

必要な準備品の早見表

資材名称 フル セミ パターン 既成
デザイン:衿型 ★★★★ ★★★★ ★★★★ 不要
デザイン:カフスなど ★★★ ★★ ★★ 不要
着用:デザイン見本 ★★★ ★★ 不要 ★★★★
着用:サイズゲージ 不要 ★★ ★★★★ ★★★★
生地:生地見本帳 ★★★★ ★★★★ ★★★★ 不要
生地:着分 ★★★★ ★★★ ★★ ★★★
オプション:芯地 ★★★★ ★★★★ ★★★ 不要
オプション:ボタン ★★★★ ★★★★ ★★★ 不要
オプション:色糸 ★★★★ ★★★★ ★★★★ ★★★
オプション:刺しゅう図案 ★★★★ ★★★ ★★★ ★★
仕上げ道具 ★★★ ★★★ ★★★ ★★
パターン(変動データ) ★★★★★ ★★★★★ 不要 不要
パターン(固定データ) ★★ ★★ ★★★★★ ★★★★★
受注関連資料 ★★★★★ ★★★★★ ★★★★ ★★★★
受注伝票・指示書 ★★★★★ ★★★★★ ★★★★ ★★★
伝票入力補助ツール ★★★★ ★★★★ ★★★ 不要
パソコン(Windows) ★★★★ ★★★★ ★★★ ★★
CADソフト ★★★★ ★★★★ ★★★ ★★
CAM 不要 不要 不要 不要
プロッタ ★★★ ★★★ ★★ 不要
プリンタ ★★★ ★★ ★★ ★★
スキャナ ★★★ ★★★ ★★ ★★
固定電話・IP電話 ★★★ ★★★ ★★ ★★
ファックス 不要 不要 不要 不要

「★★★★★必須」「★★★★要」「★★★なくても良い」「★★あっても良い」「不要」の順で必要性が高いです。

オーダーメイド事業に必要なサンプルなどについて説明しましたが、ご理解いただけましたか?
事業を円滑に運営するには、細かな準備が必要なことを理解いただけたと思います。

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