サイレントヒルF が発売してから半年以上が立ちました。

色々な考察が飛び交いつくしましたが、ずっと腑に落ちずに検証を進めた結果、ある程度納得のいくストーリーが読めました。
原作者解説があるわけではないので、本当の正解はだれにもわかりませんが、かなり真に迫る解釈だと自負します。

アクターの本人配信が5週目を終えた今、解釈を深めてみませんか?

※ 全エンディングを見た方向けの記事のため、情報を一部割愛します。

※ 筆者は、サイレントヒル全作品全エンディング・アニメ ひぐらしのなく頃に などは、過去に複数回履修済みです。
また、サイレン・零シリーズ・和製ホラー映画等々も好きです。

スポンサーリンク

全ムービーを見るには “6周” 回る必要がある

いきなり本題です。

サイレントヒルF のエンディングは全5種類です。
これ自体は変わりません。

ただし、エンディングを6周しないとすべてのムービーを見ることは出来ません。
しかも私としては、この6周目の状況が本作品を紐解く重要な真実につながっていると思っています。

既に察した方も多いと思いますが、お薬エンドである『呪いは雛の如く舞い戻る』を2回クリアする必要があります。
以降は便宜的に、6周目と書かせていただきます。

1週目の固定エンディングは この世界観を伝えるためのものです。
この世界が何なのか、あの化け物たちは何なのか などを各々に想像させてくれました。
なぜお姉ちゃんだけがあの場に居たのか? などの謎を残しつつ、妄想と現実が入り混じる様子が描かれています。

ひぐらしのなく頃に に触れたことがある人であれば、「あぁ、始まったな」と感じたことでしょう。
ただし “この世界” は、あの症候群のような病原体が根源ではなく、修がすべての元凶です。
それが、6周目に描かれています。

このエンディングを見た後に導き出した答えは、
【サイレントヒルF すべて が雛子の精神世界だけで表現されている。
化け物や超能力は存在せず すべて が現実とリンクしている】 
ということです。
後ほど細かく解説していきますが、このゲームの中の世界はすべて【すべて雛子の心象で描かれている】という前提で読み進めてください。
また、裏の裏をかかずに、ある程度シンプルに読み解いてください。

1週目のエンディング前ムービーは、薬物常用による酩酊状態で雛子が自身の婚礼会場に現れます。
その際、お姉ちゃんが雛子をいさめますが、雛子は婚儀を破壊します。

6周目のエンディング前ムービーは、雛子の状況は同じですが、お姉ちゃんが出て来ずに、雛子は婚儀を破壊します。

わざわざ新規内容にした意味ですが、視点の違いを表しているのだと思います。

1週目は 雛子の視点、
6周目は 客観的な視点で描かれています。

そのため1週目には、そこに存在するはずもないお姉ちゃんがいます。
これは、【婚儀の場には、雛子が結婚や母になることを忌み嫌う原因となった人がいることが当たり前】という考えから作り出してしまった幻影です。

一方6周目は、その状況を客観的な視点から映しています。
自分の中の葛藤は顕在化せず、婚儀を破壊したという事実だけをムービーとして映しています。
これにより、プレイヤーに違和感をいだかせ、真実に近づけるようにしているのだと私は解釈します。

これにより、その他の情報に対する解釈も納得しやすいものとなりました。

 

スポンサーリンク

【F】は何を意味している?

ここに関してもいろいろな考察が錯綜していましたが、元も子もないことから言うと、不鮮明な情報を投げていろいろと考察してもらうために通常のナンバリングと変えたのが きっかけ かと思います。
ただ、そこにどんな意味を込めるかという点を、ストーリーの様々な解釈から考察し、当てはめていきました。

 

主題のFは 【断片・Fragment】 のF

この世界は、雛子の断片的な記憶で再構成されています。
特にトゥルーエンドでは、物事を片側の側面だけで判断せずに、白雛子と黒雛子の両方の人格で納得のいく答えを探し出すことを決意しています。
そのため、断片・Fragment が主題のFにふさわしいと考えます。

そうした場合おそらくですが、各エンディングの F が発生し、それらがすべて合わさることで雛子の物語が完成します。

 

1週目固定エンド:呪は雛の如く舞い戻るエンドのFは 【離人症・Fugue】 のF

まず前提として、この世界は修に薬を盛られた後の世界です。
そのため、プレイヤーが赤いカプセルを飲ませようと飲ませまいと、どちらであっても白雛子と黒雛子の2つの人格に乖離している事実は修正できません。
解離性遁走(Dissociative Fugue)は解離性障害の一種で、強烈な精神的ストレスなどから逃れるために、突然記憶を失い、家や職場から離れて知らない場所へ放浪する症状です。
シンプルに、薬物により解離性障害が発生していることを示唆しています。

 

狐の嫁入りエンドのFは【女性・Female】のF

黒雛子が勝利する、狐(寿幸)との結婚エンドです。
婚儀に参列した修ですが事実を受け入れられず、逆上して寿幸に暴行をはたらきます。
その際に修が薬物を雛子に飲ませていたことが発覚します。
最終的には修と寿幸が和解するような終わり方をしますが、
両方の男性が雛子を物扱いしていること や、
婚儀会場の外にそぎ落とされた白雛子の顔が男性に踏みつぶされること などから、完全には納得していないが女性としての幸せを享受する生き方を選ぶことに決めたことを示唆しています。

 

狐その尾を濡らすエンドのFは【解放・Freedom】のF

白雛子が勝利し、七尾の狐(寿幸)が泣く、花嫁略奪エンドです。
婚儀まで進んだものの、女性としての新しい生を望む黒雛子に打ち勝ち、結婚をやめることを決断した白雛子。
雛子と結婚して幸せにすることだけを考え、幼いころから様々なことを学んできた寿幸ですが、古い家の教えから、「女は男の求愛を受けることが何よりの幸福」という価値観が植え付けられてしまいました。
時代を考えれば多数派の意見ですが、雛子はそれを至上とは思っておらず、自分で決断する事こそが大事だという考えから、食い違いが発生してしまいました。
乱入してきた修により花嫁が婚儀会場から奪取される際に、騒ぎの収拾や親族への説明などの”後始末”は寿幸がつけると言ってくれます。
それらの問題やしがらみをすべて捨て去り、花嫁姿の雛子とスーツ姿の修は街に消えていきます。
見捨てる・決別するなどのForsakeかとも思いましたが、様々な しがらみ からの解放という意味でFreedomが当てはまります。

 

静寂なる戎が丘エンドのFは【保留・Float】のF

白雛子と黒雛子が、それぞれの考えと正面から向き合う、保留エンドです。
今までは清水雛子のままでいたい白雛子が七尾狐(寿幸)と、
女性としての生を選択した黒雛子が修という、自分の選択を否定するものと戦い打ち勝つことでエンディングを迎えていましたが、このエンドでは自分の選択と真正面から向き合います。
そのため、白雛子が付喪神と、黒雛子が九尾狐(寿幸のおじい様)と戦います。
付喪神が修でないのは単に2つの雛子がそれぞれ戦う姿を描きたかったのだと思いますが、もう一つは人形とお姉ちゃんにつながる話かと思います。
九尾狐がおじい様であるのは、花嫁略奪エンドで泣いた狐が七尾であり、その2代上の表現として九尾になっています。
また、撃破後の寿幸のセリフに「久しぶりの祝言に 酒が過ぎたのだろう。普段は温和な方なのだ」と、祝言に参加する立場の近しい人であることが示唆されている。
そのことから、この場で乱心しても咎められない立場ということから当主であるおじい様であることがわかります。
最終的には、婚儀をいったん無しにはしましたが、破談という訳でもなくお互いに文通を続けているということから 保留・Float して、しっかりと自分たちの道を考え抜くという決断をしました。

最後のシーンで、お姉ちゃんがどのような存在になってしまったのかが表現されており、ここでひとつの物語が完結します。

タイトルとURLをコピーしました