日本人は三大○○が好きですが、ゲームの属性に関しては明確に別の理由があります。
ここでは、三大属性と三大魔法属性を設定するための根拠となる理屈を説明します。
3属性の理由
3すくみ は分かりやすい
【三竦(さんすくみ)】という言葉を知っていますか?
カエル は ヘビ を恐れ、 ヘビ は ナメクジ を恐れ、ナメクジ は カエル を恐れるため、3者がうかつに動くことができずに膠着状態になってしまうことを指します。
じゃんけん の関係性と同じですね。
3すくみを利用することで、とてもシンプルに属性の妙を作ることができます。
そのため、手軽さと爽快感がウリのソーシャルゲームなどによく使われます。
属性の数による複雑さを図形で理解
属性の数と複雑性の関係を、算数を用いて説明します。
属性を点、属性の関係性を線分(辺と対角線)として平面図形に置き換えて考えてみてください。
属性数 | 関係性 | 使用例 | 最低限覚える属性数(関係性数) |
---|---|---|---|
1 | 0 | 無 | 1(1) |
2 | 1 | 明暗 | 1(1) |
3 | 3 | 3すくみ | 1(2) |
4 | 6 | 四元素 | 2(5) |
5 | 10 | 五行説 | 3(9) |
上記の表でもわかるように、3属性以降は2つ以上の関係性を完璧に覚える必要があります。
そのため、すぐにゲームを理解して楽しんでもらうためには 3属性までに抑えるほうが簡潔で良いです。
1グループの属性の数を3つまでに絞っても、戦略性を出すことはできます。
デフォルトグループを【無】属性のみ、
明暗グループを【光・闇】属性、
RGB(赤緑青)グループを【火・草・水】属性とします。
これで6属性まで増えました。
あとは 明暗 と RGB をそれぞれの主属性・副属性として使えば、
無・火・火光・火闇・光火・闇火・草・草光・草闇・・・というように、
単属性6種+副属性持ち12種=【合計18種】まで属性を増やすことができます。
これだけ増えても覚えるべき関係性が単純なため、ユーザーに受け入れてもらいやすいです。
(火に草 や 光に闇など、同じグループ内の副属性を付けてしまうと関係性が分かりにくいためオススメしません。)
これらの既存の属性とは別に種族属性を付けるなどすれば、シンプルながらに複雑な戦略性を持たせることができます。
例:既存の属性をダメージ計算に使用し、新たに付ける種族属性は命中率に使用するなどすれば関係性をシンプルに保つことができます。
種族属性は、陸(人・獣・虫) / 海(魚・海獣) / 空(鳥・翼竜)など分かりやすい3すくみが良いです。
3つの色相に当てはめた属性の理由
RGBa と CMYK
前述のとおり、3属性の基本色はRGBです。
これは、3すくみを光で表現するのに最も適した色だからです。
中学の授業でRGBを習ったと思いますが、簡単に説明します。
RGBとは光で色を表す際に用いられるもので、足せば足すほど明るくなる加法混色の一種です。
それぞれ Red:赤 / Green:緑 / Blue:青 の頭文字をとって名付けられています。
この3色の光をバランスよく混ぜると、白色の光になります。
ゲーム制作など 画像を多く扱う業態では、これに透明度(alpha)を加えて RGBa と呼ぶことが多いです。
これに相対するのが CMYK です。
CMYKとは印刷などで色を表す際に用いられるもので、足せば足すほど暗くなる減法混色の一種です。
それぞれ Cyan:シアン / Magenta:マゼンタ / Yellow:黄 の頭文字をとって名付けられています。
この3色のインクをバランスよく混ぜると、黒色のインクになります。
ただしキッチリと黒になるわけではないので、別途 KeyPlate:黒 を加えて CMYK となります。
RGBa と CMYK に共通していることは、それぞれの色の色相が離れているということです。
つまり、色がまったく似ていないということです。
色相が似ておらず、光で表現しやすい RGBa が最も使われやすく、次いで CMYK が使われやすいという訳です。
RGBa と CMYK に合った属性
ここでゲームに立ち返ります。
属性を付ける目的は、ゲームを楽しくさせることです。
戦略性をプラスすることによるプレイする楽しみに加え、美しさや迫力などによる見る楽しみを加える必要があります。
身近な現象の中で、RGBa / CMYK になぞらえて “美しさや迫力を出しやすいもの” を考えてみてください。
多くの人が、火・水・氷・雷・光 のいずれかを思いついたと思います。
その理由は、これらの美しさには光の表現が関わっているからです。
美しさを表現するためには、彩度や明度の高さが関係します。
迫力を表現するためには大きさの他に、明暗や緩急などのコントラストが関係します。
RGBa や CMYK になぞらえたうえで、これら2つを満たしやすい現象の代表が 火・水・氷・雷・光 だったという訳です。
この現象に色をあてて、RGBa と CMYK に当てはめます。
火・炎:赤系のため、Red または Magenta
水・氷:青系のため、Blue または Cyan
雷・電気:黄系で表すことが多いため、Yellow
光:白系のため、KeyPlate の逆の White
これら色のついた属性を 3すくみ に当てはめようとすると、
RGBa:火・(Green)・水
CMYK:氷・炎・雷
というようになります。
水は火に強く、火は(Green)に強く、(Green)は水に強い。
この3すくみを成立させる属性として Green に適しているものは植物です。
そのため、RGBaを用いた三大属性として 火・草・水 が使われているのです。
ここで、CMYKの方にも着目します。
CMYKの方は 3すくみ が成立しているとは言い難いですが、エフェクトによりゲームに見る楽しみを加えやすい属性だけで構成されています。
そのため CMYK を用いた 氷・炎・雷 は、三大魔法属性 という形で使用されています。
これら2つの要素を併せて活かす場合は、四元素内の3属性より 火・水・風 を広義として使用します。
少し無理やり感は残りますが、雷をそのまま使うよりも色幅があり見栄えを出しやすくなります。
まとめ
3すくみを成立させるために適しているのは、RGBaを用いた三大属性の 火・草・水 です。
見栄えを高めることに適しているのは、CMYKを用いた三大魔法属性の 氷・炎・雷 が適しています。
上記の両方を兼ね合わせたい場合は、色:属性(攻撃)を R:火(炎) / G:風(雷) / B:水(氷) に設定することで対処できます。
捕えがたいものの例えとして「陽炎 稲妻 水の月」という言葉があります。
魔法に 炎・雷・水 などの光が関係するものを使用するのは、案外昔ながらの日本人的感性なのかもしれません。
これらの理論を知ったうえでそのまま使うか、あえて崩して使うかはあなた次第です。
楽しいゲームを作ってください。
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