なぜデザイナーが「マーケティング用語」を学ぶのか
今現在のゲーム開発におけるデザイナーの役割は、単に「綺麗な画を作る」ことから「ユーザーの行動をデザインする」ことへとシフトしました。
特に運営型のタイトルでは、あなたの作ったUI一枚、エフェクト一つが、会社の売り上げやタイトルの寿命に直結します。
運営の人たちが話している「謎のアルファベット」の正体を知れば、彼らが何に困っていて、自分のデザインでどう解決できるかが見えてくるはずです。
基本指標・KPI関連(データ分析)
まずは、ゲームの「健康状態」を測るための用語です。
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DAU (Daily Active Users):1日に1回以上ログインした利用者数。
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WAU (Weekly Active Users):1週間に1回以上ログインした利用者数。
ただし1週間などの短期の場合は、このWAUを使わずに “7DAU” と表記することもあります。 -
MAU (Monthly Active Users):1ヶ月に1回以上ログインした利用者数。
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KPI (Key Performance Indicator):「重要業績評価指標」。プロジェクトが目標を達成しているか測るための「指標」です。
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RR (Retention Rate):「継続率」。翌日、7日後、30日後などにユーザーが戻ってきているか。デザイナーにとっては、UIの使いやすさが最も反映される数字です。
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Churn Rate:「離脱率」。ユーザーがゲームを辞めてしまう割合のこと。
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ARPU (Average Revenue Per User):ユーザー1人あたりの平均売上。
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ARPPU (Average Revenue Per Paying User):課金したユーザー1人あたりの平均売上。
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PU (Paying User):課金ユーザー。
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PUR (Paying User Rate):「課金率」。
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LTV (Lifetime Value):「顧客生涯価値」。1人のユーザーが、ゲームを始めてから辞めるまでに合計でいくら使ってくれるか。
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ROAS (Return On Advertising Spend):広告費に対してどれだけ売上が上がったかの割合。
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ROI (Return On Investment):「投資利益率」。
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CCU (Concurrent Users):「同時接続者数」。サーバーの負荷や、マルチプレイの賑わいを測る際に重要です。
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Conversion Rate (CVR):「転換率」。ストアを見た人がインストールした割合や、無課金者が課金者になった割合などを指します。
デザイナーへのヒント:運営が「 “RR” を上げたい」と言ったら、それは「翌日また遊びたくなるようなワクワクするログインボーナス演出や、迷わせないUIが必要だ」という意味です。
広告・獲得関連(ユーザー獲得)
新規ユーザーを連れてくる「入り口」に関する用語です。
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UA (User Acquisition):「ユーザー獲得」。広告などを打って新規客を呼ぶ活動全般を指します。
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CPI (Cost Per Install):1インストールあたりにかかった広告コスト。
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CPA (Cost Per Action):インストール後、特定の行動(例:チュートリアル突破)まで至るのにかかったコスト。
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CTR (Click Through Rate):「クリック率」。バナー広告などがクリックされた割合。
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Impression:広告が表示された回数。
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ASO (App Store Optimization):「アプリストア最適化」。ストア画面のスクリーンショットやアイコンを魅力的にして、検索順位やDL率を高めること。
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Organic:広告を経由せず、自発的に検索して入ってきたユーザー。
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Ad Network:複数の広告媒体をまとめたネットワーク。
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DSP (Demand Side Platform):広告主側の配信プラットフォーム。
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Attribution:どの広告がインストールに貢献したかを特定すること。
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MMP (Mobile Measurement Partner):『Adjust』や『AppsFlyer』などの広告計測ツール。
デザイナーへのヒント: “CPI” が高いと言われたら、あなたの作った「バナー」や「アイコン」がユーザーに刺さっていない可能性があります。
プロモーション・手法関連(広報・宣伝)
認知度を上げ、お祭りを盛り上げるための用語です。
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Pre-registration:「事前登録」。
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Closed Beta Test (CBT):人数限定の公開前テスト。
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Open Beta Test (OBT):誰でも参加できる公開前テスト。
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Influencer Marketing:YouTuberやVTuberに紹介してもらう施策。
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KOL (Key Opinion Leader):業界で強い影響力を持つ人物。
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IP (Intellectual Property):「知的財産」。アニメ作品や、有名なキャラクターそのものを指します。
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OOH (Out of Home):「屋外広告」。駅の看板や街頭ビジョンなど。
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Tie-up:他社ブランドや作品とのコラボ。
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Press Release:メディア向けの公式発表。
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Social Listening:SNSでユーザーが何を言っているか分析すること。
マネタイズ・ビジネスモデル関連
どうやって「ごはんを食べるか」の仕組みです。
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F2P (Free to Play):基本プレイ無料。
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B2P (Buy to Play):ソフト買い切り。
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Freemium:基本無料だが、リッチな機能は有料のモデル。
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IAP (In-App Purchase):「アプリ内課金」。
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Gacha:「ガチャ」。
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Battle Pass:課題クリアで報酬が出る定額課金。2026年現在、多くのタイトルで主流です。
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Subscription:月額課金。
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Whale:「クジラ」。非常に高額な課金をしてくれる層。
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IAA (In-App Advertising):アプリ内の動画広告などによる収益。
デザイナーへのヒント: “Battle Pass” の進捗画面は、ユーザーが「あと少しで報酬がもらえる!」と感じるような演出(ゲーミフィケーション)が求められます。
業界特有・戦略用語
最後に、会議で飛び交う業界用語です。
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AAA (Triple-A):膨大な予算をかけた超大作。
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Indie Games:独立系の小規模開発ゲーム。
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Casual / Mid-core / Hardcore:プレイ頻度や難易度によるユーザーの分類。
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Metaverse:仮想空間での経済活動。
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Gamification:ゲーム以外のサービスにゲーム要素を入れること。
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Live Ops:運営型ゲームの更新やイベント運営。
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Localization:単なる翻訳ではなく、その国の文化に合わせてデザインや内容を調整すること。
結び:数字を知るデザイナーは「強い」
いかがでしたか? 全てを暗記する必要はありません。
「運営チームが何を達成したくて、この数字を追いかけているのか」が想像できるようになるだけで、デザイナーとしての提案力は格段に上がります。
例えば、単に「かっこいいショップ画面」を作るのではなく、「 “Whale” ユーザーが誇らしく思えるような、豪華な有償エフェクトを入れましょう」と提案できれば、運営チームにとってあなたは「最高のパートナー」になります。
共通言語を武器に、さらに一歩進んだデザイナーを目指しましょう!
