【第2回】法と権利:シンボルの罠「その回復アイテム、法律違反かもしれません」

Unity(デザイナー向け)

前回の総論では、クリエイターが守るべき倫理と配慮の全体像を確認しました。
第2回となる今回は、具体的な「デザインの禁忌」の筆頭である“公共・権利のシンボル”について詳しく解説します。

(このページ内でも禁忌として、できるだけ使用しないようにしています。伝わりにくい場合は 申し訳がないです。)

『Unity』で制作をしていると、アセットストアで手に入れた素材をそのまま使ったり、現実にあるものを模写してテクスチャを作ったりすることがあるでしょう。
しかし、その何気ない「赤十字」や「紋章」が、プロジェクト全体を揺るがす大きな問題に発展することがあるのです。

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最も危険な「赤十字標章(レッドクロス)」

ゲームの中で体力を回復するアイテムや、傷ついた仲間を治療する衛生兵の腕章。そこに「白い背景に赤い十字」を描いてはいませんか?
実は、これが世界で最も有名な「使ってはいけないシンボル」の一つです。

「単なる医療のマークではないか」と思われるかもしれませんが、赤十字マークは『ジュネーブ条約』および国内法(日本では「赤十字の標章及び名称等の使用の制限に関する法律」)によって、武力紛争下における衛生部隊や病院を識別するために厳格に保護されています。

これを民間人が無断で使用することは、たとえゲーム内の演出であっても法律で禁止されています。
過去には、有名タイトルがアップデートでこのマークを修正した事例も少なくありません。

【Unityでの対策と代替案】 テクスチャを描き直す際は、以下の代替案を検討しましょう。

  • “緑の十字”:安全や衛生の象徴。
  • “赤いハート”:ゲーム的な「ライフ」の表現として最適。
  • “Hマーク”:病院(Hospital)を示す国際的な記号。
  • “赤線の太いプラス(+)”:中心を白抜きにするなど、赤十字と完全に一致しないデザイン。
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実在する「警察・軍の紋章」と法的リスク

リアルなミリタリーアクションや現代劇を『Unity』で制作する場合、実在する組織のエンブレムをそのまま使いたくなるかもしれません。
しかし、現行の警察のエンブレムや自衛隊、米軍の特定の部隊章を無断で使用することは、権利侵害や偽造とみなされるリスクがあります。

特に、実在のロゴをそのまま使いながら、その組織を「悪役」として描いたり、不名誉な扱いにしたりすると、名誉毀損や修正指示、あるいは配信停止のリスクが跳ね上がります。

【クリエイティブな解決策】

  • “架空の組織名とロゴの作成”:実在の組織を彷彿とさせつつも、細部を必ず変えるようにしましょう。
  • “歴史的な紋章の確認”:既に消滅した組織(例:古い時代の騎士団など)であれば使用可能な場合もありますが、それでも背後にある歴史的意味は調査が必要です。
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公共ピクトグラムと「地図記号」の落とし穴

街並みを再現する際、非常口のマーク(避難口誘導灯)や地図記号を配置することもあるでしょう。これらも扱いには注意が必要です。

例えば、非常口の「走る人」のマークを改変して、「凄惨な死に方をしているピクトグラム」に変えるなどの演出は、施設管理者や公共団体から「公共のシンボルを汚すもの」として難色を示されることがあります。

また、日本の地図記号である「卍(まんじ)」は、欧米諸国ではナチスのドイツのシンボルである『ハーケンクロイツ』と非常に混同されやすく、グローバル配信の際には深刻な誤解を招く原因となります。

【グローバル展開を見据えたUnity実装】

  • “ローカライズでのテクスチャ切り替え”:日本国内版では「卍」を表示し、海外版では「三重の塔」などのアイコンに差し替えるといった、言語設定に応じた素材の切り替えを実装しましょう。
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まとめ:プロは「法務的な視点」をデザインに宿す

中級以上のクリエイターにとって、デザインは単なる「見た目の良さ」だけではありません。
「そのデザインが他者の権利を侵害していないか」というチェック能力こそが、プロとしての信頼に繋がります。

『Unity』でアセットを作成したり、外部のクリエイターに発注したりする際は、必ず以下の3点を確認する癖をつけましょう。

  1. そのシンボルに「特別な法的保護」はないか?
  2. そのロゴは「実在する組織の権利」を侵していないか?
  3. その記号は「異なる文化圏」でどう受け取られるか?

「表現の自由」を守るためにも、まずは守るべきルールを知ることが大切です。

次回、第3回ではさらに一歩踏み込んで、世界進出の際に避けては通れない「政治・宗教・歴史」に関わるタブーについて解説します。

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