『Unity』でマテリアルやUIの色を決める際、私たちはついつい「見た目の良さ」や「視認性」だけで判断してしまいがちです。
しかし、特定の色の組み合わせは、特定の宗教、政治団体、あるいは歴史的な文脈を強く想起させ、プレイヤーに強烈な違和感や拒絶反応を与えてしまうことがあります。
色彩は言語を介さない「無意識のコミュニケーション」だからこそ、その扱いには慎重さが求められます。
三色の罠:特定の団体を想起させる組み合わせ
日本国内において、「赤・黄・青」 の3色の組み合わせが特定の新興宗教団体を強く連想させるように、特定の色の並びは「記号」として機能してしまいます。
- リスク: 全く無関係なシーンであっても、その3色が並ぶだけで「その団体を支持している」あるいは「その団体を揶揄している」といった、制作意図とは無関係なバイアスをプレイヤーに与えてしまいます。
- 回避策: 3色のうち1色の明度や彩度を大きく変える、あるいは中間に別の色(グレーや白など)を挟むことで、記号としての「パターンの連続性」を断ち切りましょう。
信仰心と色彩:宗教的配慮
世界市場を見据える場合、色彩が持つ「神聖さ」や「禁忌」の理解は必須です。
神聖な緑(イスラム教): 緑は楽園を象徴する色です。これを「床のマット」や「靴のデザイン」など、足で踏みつける場所に使用すると、深刻な侮辱とみなされるリスクがあります。
五色幕(仏教): 「青・黄・赤・白・紫」の並びは仏教の知恵を象徴します。
不用意にこの5色を等間隔で配置すると、日本人の目には「法要」や「葬儀」といった宗教的文脈が混じって見えてしまうことがあります。
サフラン色(ヒンドゥー教): 濃いオレンジ色は献身の象徴です。モンスターの色や破壊オブジェクトに安易に使用すると、特定の文化圏での炎上を招く可能性があります。
企業・政治ブランディング:色の「占有」と誤解
現代社会においては、特定の組織や思想が特定のカラーパレットを強力にブランディングしているケースがあります。
- 色の商標(カラーマーク): 特定のハイブランドは特定の色を商標登録しています。
類似のカテゴリ(ファッションアイテムが登場するゲームなど)でこれらに酷似した色を扱うと、法的トラブルに発展する恐れがあります。 - 政治・団体色の「誤認」: 特定の政治団体が「特定のシンボル(例:オレンジ色と特定の果物の組み合わせ)」を掲げている場合、その配色を採用するだけで「その団体を支持している」という政治的メッセージとして受け取られ、不必要な論争に巻き込まれることがあります。
Unityでの実践テクニック:色の「検閲」と調整
中級者であれば、マテリアルを決定する前に以下の防衛策を講じましょう。
「色+モチーフ」で検索する: メインカラーを決めたら、その配色で一度画像検索を行ってください。
もし検索結果が特定の団体やブランドで埋め尽くされるなら、その配色は「すでに占有されている」と判断すべきです。
Post-processingによるトーンの調整: 特定のシーンで色が特定の団体に似てしまった場合、Unityの Color Grading を使用して全体のトーンをわずかにずらしましょう。記号性を緩和する最も手軽な方法です。
地域別のカラーセット: Localization パッケージを使い、特定の地域でのみ彩度を落としたりパレットを微調整したりする実装も、グローバル配信では有効な手段です。
まとめ:色に「文脈」を宿らせる
色は単なるRGBの値ではなく、人類が積み上げてきた「意味の集積」です。
「たかが色」と侮らず、自分の選んだパレットが世界の誰かにとってどんな意味を持つのか。
その想像力を持つことが、作品の品位を守り、より広い層に受け入れられる鍵となります。
Unityの機能を駆使して美しい世界を作るのと同時に、その裏側にある「社会的な意味」もデザインしていきましょう。

