表現の自由が認められるゲームの世界では、ホラーやR18といった成人向けジャンルにおいて、あえて「不快なもの」や「挑発的なもの」を演出として取り入れることがあります。
しかし、ここにも明確な「境界線」が存在します。
記号の組み合わせで変わる「意味」
第4回で「裏ピース」は侮辱だと解説しましたが、ここに “「舌を出す(ベロ出し)」という動作が加わると、意味は「社会的な侮辱」から「性的な挑発」” へと変質します。
- 演出の意図: ホラーや成人向けコンテンツでは、キャラクターの狂気や背徳感を出すためにあえて使われる手法です。
- リスク: 挑発的な仕草は、プラットフォーム(App Storeなど)によっては「性的な暗示」として厳格に禁止されており、一発で配信停止になる可能性があります。
「性的ニーズ」と「社会的な蔑視」の混同を避ける
ネット文化、特に男性向けコンテンツにおいて「メスガキ」や「わからせ」といった、キャラクターがプレイヤーを嘲笑(「小さい」「無能だ」など)するジャンルがあります。
- 様式美としての侮辱: 特定の嗜好を持つ層(性的倒錯/フェティシズム)にとっては、これらは「エンターテインメントとしての合意されたプレイ」です。
- 決定的な境界線: 演出としての「嘲笑」は許容されても、前述の「ピンチジェスチャー」のような “「現実の政治・ジェンダー対立に根ざした蔑視」” は、R18コンテンツであっても許容されません。
それは「娯楽」ではなく「攻撃」とみなされるからです。
プラットフォームの「門番」とゾーニング
『Unity』で制作したコンテンツを公開する際、最終的なジャッジを下すのはプラットフォームの規約です。
- Steam: 成人向けフィルターにより比較的寛容ですが、実在の属性への差別や蔑視には厳格です。
- 家庭用ゲーム(CERO/ESRB): 身体欠損(ゴア)や性的なジェスチャーには非常に厳しい基準があります。
- SNSでの拡散リスク: ゾーニングされたゲーム内ではOKでも、そのスクリーンショットがSNSで拡散された際、一般ユーザーの目に触れて「ヘイトスピーチ」や「公序良俗違反」と通報されるリスクを常に考慮すべきです。
まとめ:エッジを攻めるための「羅針盤」
「あえて」タブーを冒す表現には、高い技術とそれ以上の「知性」が必要です。
自分が描こうとしているのは “「ターゲットを喜ばせる演出」なのか、それとも「実社会の誰かを傷つける攻撃」” なのか。
この羅針盤を失わないことが、尖った表現を成立させる唯一の条件です。

