Unityで圧倒的なビジュアルを作るためには、単に高精細なモデルやテクスチャを並べるだけでは足りません。
最終的にそれらをプレイヤーの目に届ける「カメラ」と、その「レンズ」がもたらす光学現象を理解することが、プロフェッショナルな画作りへの最短ルートです。
本ガイドでは、全5回にわたる連載の内容を凝縮し、デザイナーが意図した通りの空気感を生み出すためのエッセンスをまとめました。
【第1章】物理カメラの思考法:計算を捨てて演出を掴む
「なんとなくFOV(視野角)をいじる」という習慣を卒業し、Unityの『Physical Camera』をマスターすることからすべては始まります。
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センサーサイズという規格: まずは基準として “35mm Full Frame” を選ぶことで、現実のカメラと同じ「レンズの感覚」を身につけます。
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焦点距離による物語の演出:
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“広角(14mm~24mm)”:空間を広く見せ、スピード感や迫力を強調する。
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“標準(35mm~50mm)”:人間の視野に近く、誠実で没入感のある視点。
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“望遠(85mm~200mm)”:背景が迫る「圧縮効果」で、被写体の感情を凝縮する。
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露出の三要素: 明るさをライトの強度だけで決めず、”F-Stop”(絞り)や “ISO”(感度)といったカメラ側の設定で「光の受け止め方」をデザインします。
2/6 8:00~ 公開予定
【第2章】被写界深度(DoF)とボケ:不完全さのデザイン
デジタル特有の硬さを消し、画面に情緒を与えるのが「ボケ」の役割です。
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物理連動の重要性: 設定を “Physical Camera” モードにすることで、レンズの明るさや焦点距離に連動した、説得力のあるボケが自動的に得られます。
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ボケの形を制御する: “Blade Count”(絞り羽根の枚数)を調整し、円形や多角形のボケを使い分けることで、オールドレンズのような質感を演出できます。
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口径食(猫の目ボケ): 画面端のボケを意図的に歪ませることで、中央の被写体へと視線を誘導する強い演出力が生まれます。
2/7 8:00~ 公開予定
【第3章】光の滲みと空気感:Bloomとレンズ汚れ
光は「レンズという媒体」を通ることで初めて、プレイヤーにその眩しさを伝えます。
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品格を決める “Threshold”(閾値): 画面全体を光らせるのではなく、本当に輝いている部分(HDR領域)だけが溢れ出すように設定します。
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レンズダート(Lens Dirt): わずかな埃や指紋のテクスチャを重ねることで、そこに「カメラが存在する」という実在感を宿らせます。
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フレアとゴースト: レンズ内部の反射を再現し、シーンの温度感や「光の強さ」を視覚的に定義します。
2/8 8:00~ 公開予定
【第4章】特殊フィルター:デジタルに映画の魔法をかける
実写撮影のテクニックをUnityに持ち込み、独自のルックを完成させます。
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クロスフィルター: 光源を星型に輝かせ、シーンに華やかさや神聖さを加えます。
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ブラックミスト(ディフュージョン): 解像感を保ちつつ、ハイライトを柔らかく包み込むことで、パキパキとしたCG感を「しっとりとした映画的な質感」へ変容させます。
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デジタルNDフィルター: 明るすぎるシーンでも、カメラの露出(Exposure)設定をフィルター代わりにして、理想的なボケ味を維持します。
2/9 8:00~ 公開予定
【第5章】シネマティックの完成:アナモルフィックと最終調整
最終的な画作り(ルックデヴ)において、すべての要素を一つの世界観に統合します。
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アナモルフィック・エフェクト: 映画の象徴である「縦長のボケ」や「水平に伸びる青いフレア」を再現し、圧倒的な映画感を演出します。
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色収差(Chromatic Aberration): レンズの端で起こるわずかな色のズレを加え、視界にリアリティの重みを足します。
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フィルムグレイン: 最後に微細なノイズを乗せることで、画面の「密度」を補い、デジタルの平坦さを打ち消します。
2/10 8:00~ 公開予定
デザイナーが持つべき「視点」
Unityのカメラ設定は、パラメータの羅列ではありません。
デザイナーとしての「どんな感情をプレイヤーに届けたいか」という意志を、光学現象という共通言語で画面に定着させるためのツールです。
「なぜこの数値なのか」という理由を持てるようになったとき、あなたの作る世界は、単なるプログラムの出力から、心に響く「映像」へと進化します。

